渋谷・松濤のセラピールーム「Heart Retreat」のブログです。
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Posted by ハート・リトリート
 
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気持ちの受けとめ方
ある小さな男の子が土手で段ボールに入った子猫を一匹見つけました。
まだ生まれたばかりらしいその子猫にそっと触れてみると、ふわふわの毛の下に片手でつかめてしまうくらいの細い痩せた身体を感じました。

子猫は「ミギーッ、ミギーッ」と絞り出すような声で母猫を呼んでいます。
近くに母猫は見当たりません。
とても自分の力では生きていけそうもない弱々しい小さな子です。
力を加減しながらそっと抱っこすると、子猫のぬくもりが男の子の手を伝わって身体に流れてきました。あたたかくて、なんとも言えない心地よい感じです。

そばを近所のおじさんが通りがかりました。
「なんだ、捨て猫か。保健所に電話して来てもらおう」

別のおばさんは
「病気持ってるかもしれないから、そんな猫触らない方がいいわよ」

そんなことを言います。
小さな男の子はだんだん不安になってきました。
この子猫が病気をもっているかもしれないことよりも、大人によって何か危険な目に晒されるような気がしてきたのです。何となく大人はこの猫を自分たちの世界から「放り出そう」としているようにも見えました。

冷たい風が吹いてだんだん夕闇が迫ってきました。
頬にぽつりと水滴があたりました。雨が降ってきそうです。

考えあぐねた末に男の子はこの猫を自宅へつれて帰りました。
母親に間違いなく怒られる事はわかっていました。
でも、そうせずにはいられなかったのです。

帰宅した男の子を見るなり母親は「なんでそんなもの持ってるの!」と一喝しました。
事情を聞いたあとも、「猫を捨てるような非常識な人間がいるから、野良猫が増えて仕方ない」「(近所の大人たちは)なぜうちの子に処分を押し付けたのか」「なぜ誰かに預けてこなかったの」「あなたはいつもお母さんを困らせる」と息をつく暇もなく、まくしたてました。

男の子は分かっていたこととは言え、母親の言葉に傷つき、意気消沈です。



ここで「気持ちの受容」について考えてみたいと思います。
このお母さんは恐らくこの子猫を飼いたくない(飼えない)状況であると思われます。
どこの家庭でもこんな風に子どもが拾ってくる子猫は歓迎されないでしょう。

この男の子は怒られるのを分かっていて、連れて帰るという行動に出ました。

なぜでしょう?

きっと「見て見ぬ振りを出来なかった」のだと思います。

もし、この子が帰宅した時に話を聞いたお母さんが
「○○君は、この猫をそのままにしておけなかったんだね」とひとこと言えたらどうだったでしょう?弱いものを見捨てられなかった自分の行動をひとまず受け止めてもらって、男の子はとても救われた気持ちになったはずです。

人は「頭で分かっていても、その通りに出来ない」時が多々あります。
「~すべき」「~した方がいい」のに「~してしまう」これが「葛藤」です。
人は自分の葛藤状態を相手に受け入れてもらえたと感じた時に、心の緊張がほぐれてほっとした気持ちになります。

「猫は我が家では絶対に飼えないのよ」という答えが最初からゆるがないものであったとしても、子どもの気持ち(葛藤)をいったん受けとめることはとても重要です。
気持ちを受けとめることは、子どもの要求を飲むこととは違います。

この子は「小さく弱いものを見捨てられなかった」という動機から母親に叱られると分かって猫を連れ帰りました。それに対して、この子の動機を無視して「あなたはいつもお母さんを困らせる」と返答することは、「母親の気持ちに沿うこと以外はすべてNG(=子どもが自分で考えて行ったことは肯定されないのだから、表現するべきでない)」というメッセージを子どもに送ることにもなります。これが続けば、子どもにロボットになれと言ってるのと同じになります。

顔を見るなり叱り飛ばすよりも、「○○君は、この猫のことがとても心配だったから、そのままにしておけなかったんだね。でもうちでは飼えないの。だから、この猫のこと、これからどうしたらいいか一緒に考えよう」こう言えたなら、この男の子の心もずいぶん違ってくるでしょう。

お母さんの考えと男の子の考えが相反するものであったとしても、相手の動機や葛藤を尊重して受けとめる、これだけで、お互いの関係性はとても気持ちのよいものになるはずです。
Posted by ハート・リトリート
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[親と子]  thema:こころ - genre:心と身体
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